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日本学術会議を、特別な法人にさせようとする法案に反対する声明

NPO法人多摩住民自治研究所は、「日本学術会議を、特別な法人にさせようとする法案に反対する声明」を発表しました。

 

 われわれは、文化国家の建設者として、はたまた世界平和の使として、再び戦争の惨禍が到来せざるよう切望するとともに、さきの声明を実現し、科学者としての節操を守るためにも、戦争を目的とする科学の研究には、今後絶対に従わないというわれわれの固い決意を表明する。──日本学術会議(1949年1月創設)による声明(1950年4月28日)より

 わたしたちNPO法人多摩住民自治研究所は、政府が今国会で審議しようとしている日本学術会議法の改正案に反対し、本法案を撤回することを求めます。

 政府から独立して職務をおこなう「特別の機関」として設立された日本学術会議はこれまで、政府・社会に対して日本の科学者の意見を直接提言し、市民社会との対話を通じて科学への理解を深めるなどの役割をはたしてきました。この「戦争を目的とする科学の研究には絶対従わない決意の表明」は、学問がはたした戦前の役割に対する深い反省から生まれたものです。

 しかし、今国会に提出された本法案では、この日本学術会議を特別な法人にして、首相が任命する「監事」が学術会議の組織・業務の全般にわたり監査を行い、内閣府が所管する「日本学術会議評価委員会」が学術会議の業務を評価し、外部者による会員候補者の「選定助言委員会」が選定方針だけでなく候補者選定に意見を述べ、「運営助言委員会」が置かれる会長の職務に関し意見を述べる規定を設けるなど学術会議の独立性・自律性を制約する仕組みが導入されることとされています。学問に関わっていない外部の者が会員の選考や組織の運営に関わることになり、科学者の意見を直接に政府・社会に提言していく役割が大きく損なわれます。

 地方自治の発展を定款に掲げる当研究所は、この地方自治を発展させていくためには、子どもを含む住民一人ひとりの学習権を実現させていくことが不可欠なものであり、かつ、その学習は、真理を探究する学問の自由を土台としたものによってこそ確かなものになることをこれまで大切にしてきました。

 わたしたちNPO法人多摩住民自治研究所は、2020年10月に任命拒否をされた候補者6名の任命拒否を是正するよう求めるとともに、学問の自由を脅かし、住民の学ぶ自由を侵害する法案が可決されることは決してあってならないと考え、撤回を強く求めます。

 

2025年5月3日

NPO法人多摩住民自治研究所

理事長 荒井文昭

​多摩住民自治研究所

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