多摩住民自治研究所 議員の学校
議員の学校 第57回
戦後80年の歴史から
平和と地方自治を考える
2025年8月17日(日)18日(月)
会場:三鷹市市民協働センター (オンライン併用)
🚃 JR三鷹駅下車 南口から徒歩15分程度 (三鷹駅、調布駅などか らバスあり)

■近現代日本の軍事体制と地方自治制度をたどる
~すべての住民が願う地方自治を求めてきた明治以来の歴史を学び合う
講師: 池上 洋通 氏 元東京都日野市役所職員、「議員の学校」前学校長

■近代日本の地方自治体制度は、市制・町村制、府県制・郡制として、1889年・明治憲法の制定に合わせて制定、当初は住民の意識を尊重する性格を持っていました。しかし、1894年の日清戦争、10年後の日露戦争と軍事プラン優先の体制が強まり、第一次世界大戦への参戦。一定期間の「平和期」を経て、ついに1931年~ 1945年の「15年戦争期」に突入。1940年に市町村は東アジア侵略戦争遂行のための「住民総動員機関」となります。そして敗戦。1946年に制定された日本国憲法の下で、民主的制度による人権保障の機関としての活動が始められ、住民の民主的な共同的努力の成果が期待されました。ところが…戦後の地方自治の歴史を端的に語ります。
■プロフィール
1941年静岡県生まれ。講師は自治体職員、研究機関常勤役員、千葉大学教育学部非常勤講師(社会教育原論)などの経験を持つ地方自治理論・政策の実践的研究者。著書・論文は地方自治体論をはじめとして、保健医療、社会福祉、教育、防災など、自治体政策の全分野にわたります。
■著書(共著含む)
『人間の顔をしたまちをどうつくるか』(自治体研究社)、『生きたかった―相模原障害者施設殺傷事件が問いかけるもの』(共著 大月書店)、『「学び」を止めない自治体の教育行政』(共著 自治体研究社)ほか多数。
議員の学校

■沖縄から憲法・地方自治を問う
講師: 渡名喜庸安 氏 元琉球大学名誉教授、多摩住民自治研究所理事
■沖縄は、苛烈な沖縄戦後も長年、米軍の直接統治下(憲法番外地)におかれ、沖縄返還後も(安保・地位協定体制の下で)米軍基地問題が沖縄の人々の生活に重くのしかかってきました。米軍施設の集中に伴う基地負担の問題に加え、今では、自衛隊の基地建設・住民の避難計画をはじめとする戦時体制づくりが、地方自治体を利用しながら急速に進められています。国民主権・平和主義・国民の人権尊重・地方自治の保障といった憲法の基本理念が形骸化されようとしている沖縄の実態は全国にも共通する問題です。沖縄の歴史や現状を踏まえながら、地方自治体(地方議会含む)がどのような役割を果たすことができるか、憲法・地方自治のあり方について改めて考えてみます。
■プロフィール
1949年生まれ。沖縄県出身。琉球大学卒業後、名古屋大学大学院修士・博士課程を修了。1979年に福島大学に赴任。 98年から愛知や広島の大学を経て、2008年より琉球大大学院教授。おきなわ住民自治研究所理事。退職後、神奈川県相模原市藤野に移住。

■特別報告
講師: 伊波 洋正 さん 元自衛隊訓練場設置計画の断念を求める会事務局長
■沖縄県うるま市のゴルフ場跡地に陸上自衛隊の訓練場を整備する計画が持ち上がり、地元が一致して白紙撤回を求めた。近くには米軍機墜落事故の記憶が残る住宅地もある。立場を超えて反対の声が広がり、防衛省に土地取得の断念を求める要請を行った。防衛省は、地元の理解を得るのは難しいとして用地取得を含む同計画を白紙に戻すことを表明。うるま市で反対が広がり、防衛省が計画を断念した経緯を語ります。
■プロフィール
NPO法人「石川・宮森630会」事務局長。1959年宮森小学校1年次在籍時に米軍ジェット機墜落事故に遭遇、事故の継承のために語り部活動に従事、現在に至る。

■戦後80年 日本の社会保障制度の光と影
~権利性を問う
講師: 石川 満 氏 元日本福祉大学教授、多摩住民自治研究所理事
「議員の学校」学校長
■米軍占領期及び戦後の社会保障・社会福祉の歴史を概観し、我が国の社会保障・社会福祉制度は国民の生活や権利を守ることが出来ているかについて、検証します。この間は財政問題が常にボトルネックで、国家としての責任や国民の権利性があいまいにされてきました。そのため、国民・利用者の側から国へ向けて責任を問うたたかいが必要でした。この状況は現在も変わりません。
生活保護基準の引き下げ問題で現在係争中の「いのちのとりで裁判」や年金制度改革の課題、障害者等への虐待などの問題についても取り上げます。
■プロフィール
1951年東京都生まれ、東大和市職員(通算21年間福祉事務所に勤務)を経て、1999年日本福祉大学社会福祉学部助教授、2004年教授。福祉行財政論など、2017年定年退職。多摩住民自治研究所理事、社会福祉法人えいぶる理事長など。
■著書 『いのちを選ばないで』(共編著 大月書店 2019)、『生きたかった―相模原障害者殺傷事件が問いかけるもの』(共編著 大月書店 2016)ほか。